量子情報関東Student Chapter
第35回量子情報関東Student Chapter
日時・概要
今回は卒論・修論・博論お疲れ様会と題しまして、今年度ご卒業される方々に研究内容を講演していただきます。詳細は随時更新されていきますので、定期的にご確認いただけると幸いです。
- 日時:2024年 3月29日(金) @東京大学本郷キャンパス 工学部6号館セミナーAD室
- アクセス:
アクセスをご覧ください。
- 主催:量子情報関東StudentChapter運営委員会
スケジュール
12:40 受付開始
13:00 開会
13:10 - 17:10 講演
- 13:10 - 13:50 Talk1 白井 菖太郎さん(東大 野口研)
- 14:00 - 14:40 Talk2 田宮 志郎さん (東大 小芦研)
- 14:50 - 15:20 Talk3 木倉 清吾さん (東大 小芦研)
- 15:20 - 15:50 Talk4 江守 陽規さん (北大 富田研)
- 16:00 - 16:30 Talk5 宮村 岳昂さん (東大 中村研)
- 16:30 - 16:50 Talk6 阿萬 絃人さん (早大 青木研)
- 16:50 - 17:10 Talk7 服部 智大さん (慶應 田中研)
17:10 - 17:20 写真撮影
17:20 - 18:20 ポスター発表
19:00- 懇親会
参加登録
参加登録はこちら
参加費:無料。
締め切り:未定
会場の定員を超える参加者が集まった場合はポスター発表していただける方を優先させていただきます。予めご了承ください。
講演
- タイトル:「周波数固定トランズモン結合器を用いたマイクロ波誘起型2量子ビットゲート方式の提案と実験的実証」
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 野口研究室
白井 菖太郎
概要:
トランズモン量子ビットには周波数固定と周波数可変の二つの方式があり、周波数固定トランズモン量子ビットは可変のものと比べて長いコヒーレンス時間を持ち、配線数の面でも有利である。しかし、周波数が動かせないことによって製造時のばらつきに脆弱であるという問題点がある。本研究ではこの問題の解決へ向け、周波数固定トランズモン量子ビットを結合器として用い、製造ばらつきに対する堅牢さを備えた2量子ビットゲート方式の提案および実験的実証を行った。本講演ではこの方式の解析的な取り扱いや実験結果について紹介する。
- タイトル:"Low-overhead fault-tolerant quantum computation"
東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 小芦研究室
田宮 志郎
概要:
耐故障性量子計算(Fault-Tolerant Quantum Computation; FTQC)は、量子系が量子力学特有のノイズにさらされている状況下でも、任意の精度で理想的な量子回路の出力をエミュレートするための手法である。FTQCでは、理想的な量子回路を耐故障性量子回路に変換する際に、物理量子ビット数(空間)と回路深さ(時間)の両方に対してオーバーヘッドを必要とする。低オーバーヘッドFTQCプロトコルの構築は、量子計算の実装へ向けた重要な課題である。本発表では、有限レートLDPC符号と連接符号を基にした2通りの定数空間オーバーヘッドFTQCについて紹介し、量子系、誤り訂正符号、および耐故障量子回路の構成に求められる条件について概説する。その後、我々の研究成果である、定数空間オーバーヘッドと低時間オーバーヘッドを同時に実現するFTQCプロトコル、および表面符号などの従来のFTQCプロトコルとの定量的比較に基づくアドバンテージについて紹介する。
- タイトル:「共振器量子電磁力学による高効率な光子生成手法の開拓と解析評価手法の構築」
東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 小芦研究室
木倉 清吾
概要:
共振器量子電磁力学系を用いた光子生成は量子情報処理にとって重要な要素である.しかし,原子の自然緩和によって光子生成確率や光子の不可弁別性が低下してしまう.そこで我々は2点の成果:光子生成確率の解析評価手法の構築とパラメータ設計指針の提示,原子の自然緩和を抑制する光子生成手法の提案を報告する.これらの成果によって高性能な光子生成が可能となり,分散量子計算や量子通信の実現に近づくことができる.
- タイトル:「不可逆性としての誤差・擾乱およびその応用:統一的定義、Wigner一ArakiーYanaseの定理,そして非時間順序相関」
北海道大学 大学院情報科学院 情報科学専攻 富田研究室
江守 陽規
概要:
誤差・擾乱は、量子測定における重要な概念であるが、未だその理解に関して議論が続いている。そこで本研究では、これら2つの概念が量子プロセスにおける不可逆性の特殊なケースとして定義できることを示す。さらにこの統一的な定義により、以下の有益な応用が得られることを紹介する:1. 誤差・擾乱の既存定式化を不可逆性の特別な側面として包含する。2. 保存則下で測定を実装する際の普遍的な制約であるWigner一Araki一Yanaseの定理を、任意の定義とプロセスによる誤差・擾乱に拡張する。3. 量子多体系における量子カオスの尺度である非時間順序相関を不可逆性として扱い、その実験的評価方法を提供する。
- タイトル:「固定周波数超伝導量子ビットを用いた任意波形可変周波数伝搬マイクロ波光子生成とその評価」
東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻 中村研究室
宮村 岳昂
概要:
超伝導量子コンピュータの大規模化において,遠隔量子ビット間の量子通信は重要な要素である.量子通信手法の1つに伝送線路上の伝搬マイクロ波光子を用いる手法がある.この手法では送受信側双方の量子ビットが共振器と結合しており,その共振器間でマイクロ波光子を授受することで通信を行う.高効率な量子通信を行うためには,生成されるマイクロ波光子の周波数可変性や,光子波形の時間対称な形への整形が求められる.本発表では共振器の線幅に注目することで,系に追加の制御素子を導入せずに以上の要求を満たす手法を提案する.提案する手法に基づき,高効率な量子通信を行うために十分と考えられる40 MHzの周波数可変性を持ったマイクロ波光子の生成とその波形整形を行った実験結果を報告する.本手法により生成されたマイクロ波光子に対して量子状態トモグラフィを行い,光子の量子状態を評価した結果についても報告する.
- タイトル: 「ナノ光ファイバー近傍における冷却セシウム原子のバックグラウンド・フリー・イメージング」
早稲田大学 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 青木研究室
阿萬 絃人
概要:
微小な共振器を用いて光と原子を相互作用させる共振器量子電気力学系は量子コンピュータなどの技術の基盤として盛んに研究されているが、その実装には共振器近傍でレーザー冷却、トラップした原子を高いS/N比で検出することが必要になる。その方法として、原子の第一励起状態よりもさらに上の励起状態を利用し、照射するレーザー光と異なる周波数の蛍光を検出することで、近くのデバイスからの散乱光がイメージングに与える影響を抑える実験技術(バックグラウンド・フリー・イメージング)が開発されている。本研究では、ナノ光ファイバー共振器近傍にトラップした原子の高S/N 比での検出に向け、ナノ光ファイバー近傍でレーザー冷却したセシウム原子集団をバックグラウンド・フリー・イメージングで撮像する。レーザーの強度、周波数に対する原子の蛍光量の依存性、およびナノ光ファイバーからの散乱による影響を定量的に評価し、理論計算の結果と比較する。
- タイトル:「量子アニーリングにおける縦磁場の追加と非断熱遷移の効果」
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 田中宗研究室
服部 智大
概要:
量子アニーリングは組合せ最適化問題を高精度かつ高速に解くと期待されるアルゴリズムである.量子アニーリングでは組合せ最適化問題の最適解をイジングモデルの基底状態に対応させ,イジングモデルの基底状態探索を行う.断熱定理によれば,量子アニーリング中の基底状態と第一励起状態のエネルギーギャップの最小値の逆数の2乗程度のアニーリング時間をかけることにより最終時刻において基底状態を得られることが保証されている.しかし,量子アニーリングマシン実機の制限により基底状態を得るのに十分な時間をかけてアニーリングするのが難しい.そのため量子アニーリングの高速化のための研究が盛んに行われている.本発表では,量子アニーリングの途中にのみ値を持つ追加項を利用して制限されたアニーリング時間の下で性能向上を目指す.
ポスターセッション
ポスター発表者を募集しております。未完成の研究や、アイデア段階の研究なども大歓迎です!一緒に議論しましょう! 上記参加登録フォームからタイトルなどのご記入もお願いします。 お気軽にご参加ください!
世話人・運営委員
運営委員を絶賛募集中です!興味のある方は研究会にて運営委員にお尋ねください。
世話人
- Raustin Reyes (横浜国立大学 小坂研究室 D2)
- 末永 晃理 (早稲田大学 青木研究室 D2)
- 山野 新一郎(東京大学 小芦研究室 D2)
- 渡辺 幹成(横浜国立大学 小坂研究室 M2)
- 松山 勇喜(東京大学 野口研究室 M2)